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2024.12.23

ますます大型化する廃棄物処理プラントのご紹介

コラム

近年では日本国内も含め世界の廃棄物処理業者のプラントを見渡すと、大型化が進んでいると実感させられます。
単純に処理能力を多く持たせスケールメリットを狙ったプラントも多いのですが、同時にプラントの複雑化も進んできています。具体的には依然と比べ選別機器が各所に配置され、様々な材料に合わせ適切な選別ができるプラントにしておくことで、材料の変化や受入れ材料の多様化を狙ったプラントが増えてきている様に思えます。
特にヨーロッパのマテリアルリサイクルの現場では、きれいなプラだけの収集では全く量が集まらなくなったことから、プラントに選別や洗浄機器を導入し、汚れたプラも受け入れペレット製造をしている現場が急速に増えているそうです。

今回は日本国内で導入が進んでいる、フラフ燃料製造プラントやRPF製造プラント、建設系廃棄物(建廃)破砕選別プラントを例に、プラント内で使用される機械の特徴と、材料やケースに合わせ最適な機器の選び方をご説明させていただきます。

※こちらの表は横にスライドします。

【目次】

1.「フラフ、RPF用建廃用プラント概要」
1-1.「大型プラント設計時のポイント」
1-2.「投入物」
1-2a.「フラフ、RPF」
1-2b.「建築系廃棄物」
2.「プラント内で使用される機械」
2-1.「粗破砕機」
2-2.「ふるい機」
2-3.「風力選別機」
2-4.「光学式選別機」
2-5.「一軸破砕機
2-6.「六面梱包機」
2-7.「磁力選別機」
3.デモセンターについて
4.まとめ

 1.フラフ、RPF、建廃用プラント概要

フラフ燃料製造プラント、RPF製造プラントとは、廃棄物を熱エネルギー資源として再利用するための燃料製造設備です。
フラフ燃料はその主成分が廃プラスチック、RPFは廃プラスチックと紙くず繊維くず木くずなどが混ざったもので構成されています、この2つは原料時点での比重も倍ほどの差がありますが、選別プラントの構造はほとんど似通ったつくりをしています。
最後の機器が六面圧縮梱包機か減容機かの違いで、共有運用ができるケースが多いです。

建設系廃棄物や解体系廃棄物のプラントは一般的に、建設系8品目が混合され、その中には大型のものも多いため、プラントの頭には粗破砕機を用意し、耐久力の高いプラントに仕上げられています。

1-1.大型プラント設計時のポイント

プラント構築の際に重要なポイントは、何においても”採算性の高いプラント”に仕上げリスクマネジメントしておくことが基本ですが、これは別のコラムで紹介していますので割愛します。
フラフ燃料やRPF燃料の製造プラントを構築する際に特に気を付けるポイントは、製品の品質を守るということです。
燃料製品では灰分の多さや塩素濃度などの品質を基準内に守る必要があります。投入する材料に抜くべき異物が何%混ざっているのかと、受入先の品質基準によって導入する機器も変わります。

近年では、光学式選別機(ソーター)は欲しい処理量に合わせ、風力選別機は選別物のサイズごとに、磁力選別機はとにかく配置できそうな場所へ、各機器が複数台プラントに配置している現場が増えてきました。
目的は徹底した異物の除去と自動選別を狙っており、必然的にプラントが大型化することが増えてきました。
また同時に、将来の材料の変化を見越して、より悪条件の材料に対応できるように現段階ではオーバースペックとなっている投資も多く、今回導入しなくとも、将来機器を追加導入できるようにプラントの中に予めスペースを空けておくといった計画も増えています。
もう一つ、プラントが大型化する要因として、あえて処理能力を大きく取り、将来の増量に対応できるプラントが求められてます、現時点では処理能力が多すぎても時短で処理できてしまうため、メンテナンスに十分な時間をさくことができ、他の仕事も同時に進められるという強みがあります。

大型のプラント設計で一番注意するべきポイントは、かさ比重です。
計画時は試算もしやすいため、重量ベースで計画が進みますが、プラントの処理能力は体積で設計されます。
各機器はもちろんですがコンベヤ1本に至るまで全てが体積処理能力で設計されています。そこで重要になるのがかさ比重というわけです。
比重0.1と0.05の廃プラスチックがあったとします。見た目はさほど変わらないのですが同じ1トンを用意した際、10㎥と20㎥の違いがあり、選定するコンベヤが大きく異なってきます。
プラント成功のカギは比重の見極めに掛かっていると言っても過言ではないくらい重要なポイントです。もし正確な測定が難しい場合や、将来的に材料が変化する予測がある場合には、比重を低く設定して計画を進めておくことをお勧めします。

1-2.投入物

フラフ、RPF、建廃それぞれプラントへの投入物が違います。
投入する材料によっても、プラント構築の際に注意するポイントなどが違いますのでそれぞれ簡単にご説明します。

1-2a. フラフ、RPF

フラフやRPF用のプラントは、品質維持のための選別も含めて構造はほとんど似通ったつくりをしていますので共有することができます。
ただし、フラフは主にプラスチックを原料とし、RPFはプラのほかに、木くず・紙くず、繊維くず、畳などを混合した原料を使用します。
原料時点での比重を比較すると倍以上の差があり、将来的に共有する可能性がある場合、軽いフラフ原料の比重で設計しておく必要があります。

フラフやRPF用のプラントは、品質維持の選別を含めほぼ自動化することができます。
その際に重要なポイントとして、サイズごとの風力選別機を用意することで選別の精度を高めておくことと、磁力選別機をできるだけ多くの場所にかつ高磁力のものを選定しておくことが重要です。
詳細は下記の機器の説明に記載しておきます。

1-2b. 建築系廃棄物

建築系廃棄物の破砕選別プラントは、比重の重たいものが投入されますのでプラント自体に強度が必要となります。
建設系8品目と多岐にわたった材料が投入されますので、完全自動化は難しく最終的に人による調整が必要になります。
ポイントは人の手数をどれだけ減らせられるか、材料にもよりますが基本は、9割の選別を聞きにさせて残りの1割の仕事を人の手で調整する事が良いプラントに仕上げるコツです。

 2.プラント内で使用される機械

2-1.粗破砕機

粗破砕機は、粗大な材料を200mmアンダーのある程度のサイズへ処理することができます。細かくし過ぎないことで、選別の前処理や焼却の前処理など、後の工程で選別効率を高める目的で使用されることが多い機械です。

大型のプラントではヤード選別(土間選別)などの時間が取れないため、搬入された材料をそのまま投入できるような性能が求められます。
弊社の製品については→こちらのカタログをご確認ください。



2-2.ふるい機

ふるい機は材料のサイズごとの分級に使用され、特にラインの自動化を検討する際に必ず必要な機械です。
材料のサイズを10〜50mmと50〜200mmなどにサイズ分けすることで、特に、後段の風力選別機の選別精度を高め、高精度、高処理能力、自動化を実現することができます。

プラントの頭の方に配置される装置ですので、大きな処理能力と、目詰まりしない構造、希望のサイズにふるい切る設計(適正な必要面積計算)が求められます。
弊社の製品については→こちらのカタログをご確認ください。



2-3.風力選別機

風力を利用し飛ぶもの(軽量物)と飛ばないもの(重量物)を瞬時に連続的に選別することができます。
風力選別機は選別の工程において、最も人手を減らし仕事をしてくれる機械です、これを有効に設計できるか、使いこなせるかによってプラントの採算性が大きく変わってきます。

廃棄物のリサイクルプラントでは、可燃か不燃かによる選別が有効的です。
可燃と不燃物を風力選別機で分けようとした際、当然ですが、金属、がれき、ガラス陶磁器が飛ばしたいものより先に飛ばない様にしなければなりません。これらは比重が可燃物より重く、風の影響を受けにくいことを利用し、重量物側で回収したいのですが、サイズの大小が混在している場合、比重が重くてもそのサイズが小さければ風の影響を受けやすく飛んでしまいます。
風力選別とは、比重ごとに分ける機械ではなく、風を受ける面積とその質量によって受ける影響が違うという自然現象を利用しているに過ぎないため、条件を事前に揃えてあげなければ使いこなすことはできません。
具体的には、投入する材料の最小と最大サイズを限定して、その限定範囲を1:5以内に抑える事が重要です。(詳細はお問い合わせください)

大型プラントに求められる性能は、大量にかつ連続的に処理ができる、”1:5の法則”に対応でき軽量物側は人手が必要ないレベルの高精度な選別、材料の状態に合わせ風量の調整ができる設計、低出力や高出力でも機械内部に、乱気流が起きない設計、などが求められます。
また、大型の風量選別機は大量の風を使用することから、風の封じ込めが難しく粉塵をまき散らしがちな機械です。しっかり集塵し、粉塵の封じ込めができているかも重要です。弊社の風力選別機には、ジグザグとSDシリーズがございます。
詳しくは、→こちらのカタログをご確認ください。



2-4.光学式選別機

燃料利用やマテリアルリサイクルをする場合、塩素の選別やプラスチックの素材ごとに選別する必要があります。
光学式選別機では近赤外線センサーを活用して、塩化ビニルやPP、PEなどを見分け選別することができます。

大型プラントで求められる性能としては、識別精度はもちろんですが、1台当たりの処理能力が最も重要です。
材料をベルト上で散らす必要があり、構造上、処理能力が低くなりがちな機械ですが、ベルトのスピードを上げられる工夫がある機械は選別精度を維持しつつ、処理能力も高められますので、採算性を含めた検討がしやすい傾向にあります。

弊社の製品については→こちらのカタログをご確認ください。



2-5.一軸破砕機

高速回転する一軸シャフトに付属した回転刃と機械内部に備わった固定刃によって破砕する”せん断式破砕機”です。
特徴は、スクリーンが搭載ができるため、破砕サイズを均一にすることができ、お客様がほしいサイズに破砕することが可能です。

大型プラントで求められる性能としては、①計画処理能力に対応していること(比重が軽くても対応)、②とにかく故障しないこと、③メンテナンスによる停止時間が短いこと、④省エネで採算性が高いこと、が求められます。

弊社の製品については→こちらのカタログをご確認ください。



2-6.六面梱包機

廃プラや紙類を自動圧縮減容し、ストレッチフィルムにて六面固縛密封梱包します。
低反発物・水分の多いものでも圧縮梱包ができる機械が望ましく、梱包のフィルム使用量が少ないものが採算性が高いです。

気になる点やご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。



2-7.磁力選別機

磁力選別機は、自動的に磁性金属を回収できる最も一般的な選別手法で、吊り下げ式やドラム式などの種類があります。

特に燃料化プラントでは、とにかく設置できそうな場所には設置して磁性金属を徹底的に除去する、また、磁力も強力なものにして回収率を高める、吊り下げ式とドラム式の両方を採用するなどが多いです。
燃料化プラントでは搬送量も多く、ライン上では材料同士が常に重なり合っています.材料の下に潜り込んだ磁性金属はやはり回収しにくく、選別率を上げるためには複数箇所への設置が望ましいです。

気になる点やご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。



 3.デモセンターについて

プラントの導入には、大きな投資が伴います。
事業を成功させるためには、世の中にある数多くの機械を調査し、比較検討し、テストを行い、その中でより採算性の高い機器を選択し、そこで得られたデータを基に事業計画を立てることが理想の方法となります。そこで、弊社では”新しいデモセンター”を建設しました。
そこでは、『採算性』と『扱いやすさ』を重視し、世界最先端の技術を搭載した機器だけで構成したデモプラントを用意し、お客様の材料を使ってより『実際の稼働状況に近い分析』が出来るようになります。上記の機械につきましても、デモセンターでご覧いただけます。材料をご持参いただければ、それぞれの機械を、実際に試すことが可能です。
気になる方は、是非弊社へお越しください。

 4.まとめ

弊社はお客様へプラントを提案する際、より大きな利益を生み出せること、よりリスクマネジメントしたライン、より環境に優しく地球の資源を残せるようなプラントの提案を心がけています。大型のプラント構築では、そのフローの出来次第で特に顕著にその差が出てきます。
国内外の成功しているプラントの調査や、お客様から教えていただいた成功例や失敗例、運用の仕方など多くの知見を活かし、より確実で心からご納得いただける日本で最も効率の良いプラント計画をご提案します。