オーストリアで、リンドナー社75周年、リンドナーウォッシュテック社10周年を祝うセレモニーと新社屋兼工場の視察をする機会がありました。
リョーシンもこのセレモニーに招かれ情報交換を行い、ヨーロッパの最新の動向なども調査してきましたのでお伝えさせていただきます。
【目次】
1.次世代技術が目の前に |
2.世界のニュースタンダード「マテリアルリサイクル」 |
3.リンドナーウォッシュテック社とは |
4.環境保護に対するヨーロッパと日本の違い |
5.加速度的に売上を伸ばすリンドナー社 |
6.セレモニー・工場視察を振り返って |
1.次世代技術が目の前に
2023年6月下旬、オーストリアにおいて、リンドナー社75周年、リンドナーウォッシュテック社10周年、新社屋竣工を祝うセレモニーが行われました。
このセレモニーには、ヨーロッパ、南米、アジアなど世界各国から300人以上の方が呼ばれており、私たちリョーシンも、リンドナーの新社屋に伺い、節目のお祝いと最新の廃棄物処理の情報交換を行ってきました。
また、新社屋に併設された工場の視察もすることができました。
https://www.youtube.com/watch?v=4G6QOHIH8Xs
(↑リンドナー社新社屋紹介動画)
広い工場内の電力は全て太陽光発電で賄い、切削・溶接など従来全て人の手で行っていた作業は9割方ロボットが担っているというので、徹底された効率化が伺えました。
↑リンドナー社新社屋
2.世界のニュースタンダード「マテリアルリサイクル」
なぜ、リンドナーウォッシュテック社に世界中の企業が注目をしているのか。
その答えには、「洗浄プラのマテリアルリサイクル」があります。
マテリアルリサイクルとは、一度、製品として使用された廃棄物を、再度原料に戻し、製品として作り替えることを指しています。
昨今、カーボンニュートラルに対応するリサイクルが求められている中で、廃棄物を焼却し発電するサーマルリカバリーからの脱却を推し進めるために世界中がマテリアルリサイクルの導入を加速度的に進めています。
ヨーロッパでは10年以上前からマテリアルリサイクルに取り組んでおり、世界でも最新のプラントが稼働しています。
ヨーロッパではペレットの市場が成熟し、既にプラスチックが足りない状況となり廃棄物由来の汚れたプラでも綺麗に洗浄してペレット化するプラントが稼働しています。
リンドナーウォッシュテック社は世界でも早く廃棄物の洗浄を叶える技術を開発し、製品化してきたため、世界中の多くの企業が導入し、売上を急速に伸ばしています。
3.リンドナーウォッシュテックとは
では、その世界のニュースタンダードを支える、リンドナーウォッシュテック社とはどのような存在なのでしょうか。
リンドナーウォッシュテック社は、オーストリアに本社を構える会社です。
破砕機などを製造するリンドナー社のグループ会社で、洗浄や選別機械を製造するマテリアルリサイクルのリーディングカンパニーです。
地球環境の保護に真っ先に目を向けてきたヨーロッパでは、リサイクル原料を使用することが義務付けられているため、廃棄物由来のリサイクルされたペレットの需要が高まっています。
その需要に答えるために、高い廃棄物洗浄技術をもつ機械を製造しているのが、リンドナーウォッシュテック社なのです。
4.環境保護に対するヨーロッパと日本の違い
ここからは、セレモニーに参加し、世界の技術を目にしてきた私たちの気づきをお伝えしていこうと思います。
1点目は、リサイクルペレット市場における、ヨーロッパと日本の違いです。
ヨーロッパでは、政府主導で地球環境の保護が優先課題とされ、一般の製造企業に対してリサイクルペレットの使用が義務付けられペレット需要の市場が確立されていました。
それに対して、日本ではペレット需要の競争が起きておらず、適正な価格での運用がまだできていないようだと感じました。場合によってはバージン材(初めて使用される原料)のほうが、リサイクルペレットよりも安価に流通されているケースもあって、ペレット市場が成熟していないのではないでしょうか。
また、ヨーロッパではリサイクル素材に対する関心が高く、敢えてリサイクル材を好んで選ぶ方が多く、リサイクル材に対する品質のハードルが低い傾向にあると感じました。マテリアルリサイクルを推し進めるには全てを高品質で製品化するのではなく、品質のレベルに合わせて用途を選ぶことが必要で、特に廃棄物由来のペレットをマテリアルリサイクルの原料として使用するためには必要なことだと感じました。
5.加速度的に売上を伸ばすリンドナー社
2点目は、リンドナー社の加速度的に伸びている売上についてです。
リンドナー社は世界中の多くの企業と取引をしている会社で、近年は1週間に3台を完成させるペースで破砕機の製造を行っています。
このペースは破砕機を製造しているメーカーでは驚異的な製造ペースで、世界中のユーザーから技術を認められている事実が伺えます。
世界最新鋭の技術を持ちながらも世界のスタンダードを作り続けるためにリンドナー社は社内にR&Dグループを持ち、日夜研究開発をしています。
毎年多くの費用をかけてユーザーが要望する問題に応えるための技術開発をし続けていると考えると、他社では追随できない会社になっていると想定できます。
↑リンドナー社工場内の作業ロボット
6.セレモニー・工場視察を振り返って
世界トップ技術を誇る会社とそれを支えるヨーロッパの環境保護への向き合い方は、日本にはまだ根付いていないのかもしれません。
こういった世界の環境への取り組みや関心を発信していくことも大切ですが、今の日本のリサイクルの在り方やそれに則った廃棄物処理をしている方々に寄り添った提案をしていくこともわたしたちに出来る大切なことだと再認識いたしました。